□リアルタイムストラテジーというトレンド(があった)
RTSの停滞が叫ばれて久しい。だがちょっと待ってほしい、鰤は?Relic Entertainmentは?Creative Assemblyは?…まだ息をしているのではないか。確かに依然として、というか益々、素晴らしい作品がリリースされ、継続的に遊ばれているのは疑いの余地がない。だが覚えているだろうか。10年以上前のジャンルの活況を。雨後の筍のように、正直微妙な、しかし野心的な作品が沢山リリースされていたあの時代のことを。
今日のRTSは、結局のところ、概ね対戦ツールとしてのバランスを洗練させるという方向に収斂しているように思う。だが10数年前はそうではなかった。対戦ツールとしてだけでなく、一人遊びの道具として、そしてなにより、戦略ゲームの新しいフォーマットとして、ゲームバランス調整を大胆にうっちゃった野心的な作品が少なくなかったのではないか。そしてそこでは今でも人気のある、取っ付き易い題材ではない、様々なトピックが主題化されていたのではなかったか。
これはある意味で、RTSの系譜学と呼びうる何かを問うてゆく試みである。今日、誰の目にもジャンルの趨勢は明らかとなっているように思える。だが、時計の針を5年前に戻せば、あるいは10年前に戻せばどうだろうか。その時点において、後世に継がれることのなかった別様の可能性が存在していたのではないかだろうか。本稿では、(結果的に)非主流となったRTS作品を再検討することで、この、潰えてしまった可能性・失われた豊穣がなんだったのかを確かめたいと思う。
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