2014年2月11日火曜日

Cletic Kings: RTSにおける補給の役割 (RTS歴訪②)





 ■はじめに

 

 どんなゲームであれ、その作品の「ウリ」は気合を入れて宣伝するものである。これに対して、全く予想だにしなかった優れた点が後から判明することもある。今回扱うCeltic Kings: Rage of War(CKと読んで差し支えないだろうか)も、そんな作品の一つだ。
 CKは古代ローマをモチーフにしたRTS。より正確に言えば、ガリア寄りの古代ローマモノで、若干のファンタジー要素が入ったRTS。開発元はブルガリアのHaemimont Games――トロピコ(3)で知られるシミュレーションゲームの老舗である。ローカライズはズーが担当し、発売は国外・国内ともに2002年。


2014年1月30日木曜日

Empire Earth: マルチエラRTSは可能だったか (RTS歴訪①)

■どんなゲーム?


 エンパイア・アース(以下EE)は歴史モノのRTS。2001年発売。最大の特徴は、先史時代から未来に至る14の時代を扱ったマルチエラRTS(と呼ばせていただこう)という点。また、当時としては稀有なフル3Dの作品で、ズームした際の臨場感がウリだった。
 EE自体は一時代を築いたといえなくもないシリーズで、拡張版が2002年に、EE2が2005年、EE3が2007年にリリースされている(ただし、後2作の開発元は別)。
 開発元はStainless Steel、発売元はSierria(Homeworldとかのパブリッシングで知られる)。AoEのデザイナーだったリック・グッドマンの名前で売っていて、日本語版のキャッチコピーが「正統な後継者」だった筈。さて、後継者の実力やいかに。


2014年1月29日水曜日

【予告】RTS歴訪:リアルタイムストラテジーの系譜学を目指して


□リアルタイムストラテジーというトレンド(があった)

RTSの停滞が叫ばれて久しい。だがちょっと待ってほしい、鰤は?Relic Entertainmentは?Creative Assemblyは?…まだ息をしているのではないか。確かに依然として、というか益々、素晴らしい作品がリリースされ、継続的に遊ばれているのは疑いの余地がない。だが覚えているだろうか。10年以上前のジャンルの活況を。雨後の筍のように、正直微妙な、しかし野心的な作品が沢山リリースされていたあの時代のことを。
 今日のRTSは、結局のところ、概ね対戦ツールとしてのバランスを洗練させるという方向に収斂しているように思う。だが10数年前はそうではなかった。対戦ツールとしてだけでなく、一人遊びの道具として、そしてなにより、戦略ゲームの新しいフォーマットとして、ゲームバランス調整を大胆にうっちゃった野心的な作品が少なくなかったのではないか。そしてそこでは今でも人気のある、取っ付き易い題材ではない、様々なトピックが主題化されていたのではなかったか。
  これはある意味で、RTSの系譜学と呼びうる何かを問うてゆく試みである。今日、誰の目にもジャンルの趨勢は明らかとなっているように思える。だが、時計の針を5年前に戻せば、あるいは10年前に戻せばどうだろうか。その時点において、後世に継がれることのなかった別様の可能性が存在していたのではないかだろうか。本稿では、(結果的に)非主流となったRTS作品を再検討することで、この、潰えてしまった可能性・失われた豊穣がなんだったのかを確かめたいと思う。


RTS勢を迎え撃つFPS・MOBA・ソシャゲ勢