とりあえず難易度ハードで一周したので感想を書きなぐる。ネタバレは極力避ける。
まず、方々で絶賛されているように、素晴らしいシナリオと演出。作りこまれた都市の景観。そして魅力的なキャラクター。
シナリオは東浩紀的(?)なメタフィクション風味な話。国産紙芝居だと複数ルート×分岐構造で「他にもあり得た可能性」を描いていくのに対して、ハリウッド映画的一本道の本作ではFPS内在的な方法でそのあたりのあれこれが表現されていてスゴイ!
シューターとしての出来も次第点以上かと思う。エリザベスちゃんとの共闘感は非常に独特で、ソロのアクションアドベンチャーの新時代を思わせる出来。敵AIもいい仕事をしていて、こちらが物陰に隠れれば良い感じに回り込み、撃たれれば良い感じに悲鳴をあげる。
しかし、この非常に高度なシナリオ/演出は、FPSとしてのゲーム性と喧嘩をしてしまっている感が非常に強い。ウンデット・ニーで心に傷を追った中年男性・ブッカーはしかし、ここにきて幾百の敵キャラを殺戮するし、少女を連れた逃避行中に机を漁っては小銭を稼ぎ、お菓子を食べて体力を回復する。
これは難易度とも関係しているとも思うが、敵キャラは基本的に硬く、戦闘が必ずしもテンポよく進むとは限らない。続きが気になるから、ゲーム自体は全く苦ではないのだが、しかしやはり戦闘がシナリオの邪魔をするという、逆説的な事態がおこっているようにも思う。
じゃあいっそアドベンチャーとして作ればいいかというとそれも微妙で、前作同様FPSの伝統の上に成立している演出とシナリオであることは否めないし、そもそもFPSでなければ私が手にとったかどうかも微妙。このあたりの匙加減はJRPGがつまずいた地点でもある(適当)。
よく、「父親と娘」がテーマであると言われるけれど、父性みたいなものを描けているかどうかは割りと微妙。少なくとも、エリザベスちゃんが魅力的すぎて色んな意味でミスリーディングな読み込みが出来てしまっている感は割りとある。じゃあ母性はどうか。バイオショック(初代)にはちょっとだけあったこれは、今作では殆どさっぱり。多分FPSerはおっさんが多いのだろう。
今のところ、本作を総括するテーマは「出生」だと感じている。アレントも言っているように、人がひとり生まれるたびに、世界に新しい何かが持ち込まれるのである。

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